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  • 執筆者の写真谷容子

負の遺産は必要ない。 見附台地区の再開発を見直す必要性について

更新日:2019年4月13日

 見附台地区の再開発に関し、今年度から先行整備が進められてきた崇善公民館とひらつか市民活動センターの複合施設がこのほど完成しました。3月31日に落成式が執り行われ、翌4月1日には共用が開始されました。平塚市は費用負担を軽減させるため、建築費用は民間事業者が負担する手法をとり、2018年度~28年度の10年間にわたるリース契約を結びました。結果、リース料として総額にしておよそ4億300万円の税金が投入されることとなりました。29年度以降は市の所有となる予定です。

 1400.08㎡の敷地面積に建てられたのは、重量鉄骨2階建ての公共施設です。1階が公民館、2階が市民活動センターとして利用されます。いずれの施設も市民の文化活動やレクリエーション、スポーツ活動の場として必要であることは間違いありません。しかし、厳しい財政状況が続く本市の立場からすれば、指摘しなくてはならないことがあります。

複合施設が建設された場所は平塚駅西口から徒歩圏内にあり、市内の不動産業者によると坪単価が100万円を超える高級地にあたります。複合施設は2階建てとして造られましたが、関連法上、ここには高層ビルも建てることができるのです。本市の財政状況を鑑みれば、ここに商業施設を誘致することで地代収入を得るという判断があってしかるべきではないでしょうか。

また、慢性的な課題である「空家問題」を抱える本市であるがゆえに、交通アクセスの良い空家をリノベーションし、それを公民館や市民活動センターとして利活用することができれば、空家問題も少しずつですが解消されていくはずです。実際、空家を低コストでリフォームし、文化・芸術活動の拠点として活用する事例は県央各地でみられます。

リース契約が満了した後のこともしっかり考えるべきでした。今から10年後に複合施設が市の所有となることを見越せていたならば、最初から公共施設を建てるのではなく、11年目以降も家賃収入が得られる商業施設を選択することも可能であったと考えられます。

「まちづくり」を考える際、市民のニーズや利便性を考慮することはもちろんですが、それだけであってはなりません。民間企業と同じように、支出と収入の両面を熟考し市が潤う方策を模索しなければなりません。この過程をおろそかにして建てられた箱モノは、必ずや「負の遺産」としてまちに残ります。次の世代へと引き継いでいく郷土に負の遺産は必要ありません。

商業施設を選択することも可能であったのではないか
崇善公民館とひらつか市民活動センターの複合施設

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